伊谷純一郎 アルバム5

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上 順序は戻るが、これは再びカメルーンの森の話である。1997年、伊谷は神戸学院大学の寺嶋秀明氏の隊に参加してちょうど40年ぶりでカメルーンの森をたずねた。アボンバンからさらに1日南下し、かつてローランドゴリラの予察をおこなったバジュエ族の村ジカポステンを通った際、この写真のガブリエルに会った。彼は40年前、私たちの調査のアレンジをしてくれた人物だったが、森に住むバカ・ピグミーにゴリラを捕らせ、それをヤウンデに送っていたフィリップ・キャロルの手先でもあった。村人の中で、彼が唯一、40年前の今西先生と私のこの村への来訪を記憶していた。当時彼は病床にあり、立ち上がるのが精一杯だったが、私の手を握り遠い昔をなつかしがった。

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下 40年前、若かりし頃のガブリエル。彼は、“アイ・ハブ・トゥー・ピグミーズ”と言っていた。右はトゥーのうちの妻とその子で、夫は森に出かけていた。森の中のピグミー(バカ族)とガブリエルの仲介の役を果たしていたのが、このピグミーだったのである。このジカポステンでは、伊谷はローランドゴリラのオス1頭に出あい激しい咆哮を浴びている。