Naofumi NAKAGAWA, D.Sc. (Professor.of Laboratory. of Human Evolution Studies, Kyoto University)

Japanese

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解説:中川尚史.食べる速さの生態学-サルたちの採食戦略. 1999, 京都大学学術出版会,京都.

(要旨)

 速く食べられるものが良い食物?速く食べられる場所が良い環境?サルの食べる速さにこだわって研究を進めてきた筆者の研究を中心に、食べる速さにより何が明らかになるか、サルにとって食べる速さがいかに重要な意味を持つのかについて論じる。(帯紹介文より)

(目次)

はじめに

第1章 さまざまな出会い―人、対象種、専門分野、調査地、そして採食速度
 1.対象種・ニホンザルとの出会い/2.専門分野・採食生態学との出会い/3.調査地・金華山との出会い/4.採食速度との出会い

第2章 生息環境の質を表す尺度としての採食速度
 1.ブナの実を拾う速度で生息環境の質を表す/2.カヤの実を拾う速度で生息環境の質を表す

第3章 食物パッチの質を表す尺度としての採食速度
 1.チャーノフの限界値の定理/2.ブナを用いた限界値の定理の検証/3.限界値定理の検証へ再挑戦/4.そのほかの限界値の定理の検証研究/5.食物パッチ選択

第4章 食物の質を表す尺度としての採食速度
 1.栄養含有量からみた食物の質/2.栄養摂取速度からみた食物の質/3.最適食物選択モデル―古典モデルから修正モデルへ/4.最適食物選択モデル 古典モデルへの回帰

第5章 食物摂取量を推定する尺度としての採食速度
 1.食物摂取量の推定に用いる採食速度/2.食物摂取量を推定する尺度としての採食速度/3.栄養不足の要因を探る尺度としての採食速度

第6章 採食速度の個体差
 1.体の大きさによる違い/2.順位による違い

第7章 社会に影響を及ぼす採食速度

おわりに

読書案内

引用文献

索引

(解説)

 前著『サルの食卓-採食生態学入門』(中川、1994)はレビュー的色彩が強いものだったのに対し、本著では出版社の意向もあり、自身の研究、特にニホンザル研究の紹介が中心になっております。ですから、論文そのものをお読み頂いている方にとっては、新鮮味は少なかろうとは思いますが、改めて私の“採食速度”への熱い想いだけでも体感して頂ければ幸いです。

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