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大学生を対象とした生態学、動物行動学、霊長類学、人類学の教育サービス

京都大学開講科目

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人類学第一部(前期:木曜2時限、理学部2号館第3講義室

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授業の目的と概要

「自然におけるヒトの位置」を知るために、野生霊長類,とくに系統的に人類にもっとも近縁な大型類人猿の社会,生態,行動に関する知見を中心に,形質人類学,生態人類学,比較認知科学の知見を交えて,人類の進化史を検討する。講義の中心的テーマは、社会の進化、人間家族の起源、性の進化、文化の起源、心の進化、攻撃性、協力行動、言語の起源などについて解説し、最近論議されている説を検討する。

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授業計画

1.日本の霊長類学の誕生と人類進化論研究室〜導入部として
2.生活史とその進化
3.社会構造概説、父系社会とその進化(その1)
4.父系社会とその進化(その2)
5.重層社会とその進化
6.血縁認知と近親交配の回避
7.性行動とその進化
8.道具使用と社会行動の文化(その1)
9.道具使用と社会行動の文化(その2)
10.共感性と心の理論
11.狩猟と肉食,集団間闘争
12.互恵性と食物分配,協力行動,向社会的行動
13.言語の起源(その1)
14.言語の起源(その2)
(15.レポート)
16.フィードバック
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受講にあたっての留意事項

人類学第二部も受講することが望ましい。

bullet 成績評価

レポート試験。レポートの課題に則していなければ、単位は認められませんので注意してください。

bullet 教科書/参考書

教科書は使用しない。参考書は以下のとおり。これ以外は授業中に指示します。

中川尚史 『サバンナを駆けるサル』(京都大学学術出版会) ISBN:4-87698-316-X  (2007年,2,300円(著者割引価格1,932円))
中川尚史 『食べる速さの生態学』(京都大学学術出版会) ISBN:4-87698-304-6 (1999年,2,100円(著者割引価格1,764円))
中川尚史 『サルの食卓〜採食生態学入門〜』(平凡社) ISBN:4-582-54623-4 (1994年,2,800円(絶版))
西田利貞・上原重男編 『霊長類学を学ぶ人のために』(世界思想社) ISBN:4-7907-0743-1 ISBN:4-7907-0743-1 (1999年,2,400円)
西田利貞 『人間性はどこから来たか』(京都大学学術出版会) ISBN:4-87698-079-9  (1999年(2007年),2,800円(学術選書版1,800円))
河合香吏(編著)『集団―人類社会の進化』(京都大学学術出版会) ISBN: 9784876989379 (2009年,4,000円(著者割引価格3,360円)
山極寿一『人類進化論−霊長類学からの展開』(裳華房) ISBN:ISBN978-4-7853-5217-2 (2008年,1,900円)
R・ボイド・JB・シルク『ヒトはどのように進化してきたか 』(ミネルヴァ書房) ISBN:9784623058983 (2011年,9,000円)
中川尚史,友永雅己,山極寿一(編)『日本のサル学のあした:霊長類研究という「人間学」の可能性』(京都通信社)ISBN-9784903473529(2012年,2000円(著者割引価格1,680円)

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自然人類学T(前期:水曜2時限、吉田南1号館1共01講義室)

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授業の目的と概要

自然人類学は、自然におけるヒトの位置、ヒトの進化史的位置、詳しく言うなら、ヒトがヒト以外との共通祖先から、いつ、どこで、どのような理由で枝分かれし、どのような過程を経て、現在のヒト(ホモ・サピエンス・サピエンス)になったかを探る学問です。前期開講の「自然人類学T」では、フィールドワークを通して得た現生の野生霊長類の社会や生態、行動に関するさまざまな知見から、上記の問題にアプローチします。

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授業計画

第1週:はじめに〜霊長類のフィールドワーク入門
 フィールドワーク、特に野生霊長類の行動観察の楽しさや醍醐味を、”熱く”語ります。
第2週:霊長類の分類とヒトの位置
 ヒトはチンパンジー、ゴリラ、オランウータンと同じヒト科に属し、これにテナガザルを含めてヒト上科、さらにニホンザルのようなオナガザル上科まで含めて、狭鼻猿下目を構成します。このようにヒトの霊長類における位置づけを中心に霊長類の分類について話し、様々な霊長類種について映像を交えて紹介します。
第3-4週:採食生態学:大脳化を支えた食
 人類はヒト属になって大脳の肥大化を果たしましたが、大脳は多くのエネルギーを消費する器官であるため、効率的にエネルギーを活用する必要性が生じました。ヒトはこの課題をいかに解決したのでしょうか?
第5週:霊長類の社会構造の類型化
 現代日本人は、成人男性ひとりと成人女性ひとり、そしてその子供から成る家族を最小単位とした社会を形成しています。こうしたタイプの社会は霊長類の中ではむしろ稀で、霊長類は哺乳類の中でも特に多様な社会を作ることが知られています。ここではその多様な社会構造を類型化しながら紹介します。
第6-7週:群れの社会構造を決める要因としての捕食圧と食物
 前週紹介した多様な社会構造は、適応進化の産物である側面があります。つまり、いかに捕食者から食べられないでいかにうまく食べることのできる社会を、霊長類は形成しているのです。
第8-9週:群れの社会構造を決める要因としての子殺し圧、セクハラ圧、父親の育児の必要性
 ヒトを含め多くの霊長類は繁殖する時期以外にも雌雄が同じ群れを形成しています。これは伝統的には、雄親による育児の必要性で説明されてきましたが、最近提唱されている新説を紹介します。
第10週:雌雄の繁殖戦略ー社会構造の関連して
 雌雄の体の大きさの違い(性的二型)や雄の精巣の大きさは、婚姻形態によって異なります。これらの形質から考えると、ヒトの祖先はどのような婚姻形態をしていたことになるのでしょうか?
第11-12週:社会的伝達、技術的知性、文化
 社会的伝達によって個体が獲得する情報を文化と定義すれば、ヒト以外の動物にも文化的現象が認められています。野生霊長類で知られている文化としては、道具使用によって食物を獲得する行動にかかわるものが多いのですが、最近、挨拶行動のような社会的行動の文化も知られるようになってきました。
第13-14週:社会的知性と大脳化の社会仮説
 大きな群れを持つほど高い新皮質率を持つことが、霊長類のみならずいくつかの哺乳類で分かってきました。この事実を根拠とした大きな群れで生活するための社会的知性というものが、脳の肥大化をもらたしたとする社会的知性仮説について解説します。
第15週:期末試験(レポート)
第16週:フィードバック方法は別途連絡します。
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受講にあたっての留意事項

自然人類学Uも受講することが望ましい。高校での「生物」の履修は不要です。

bullet成績評価

レポート試験

bullet教科書/参考書

教科書は使用しない。参考書は以下のとおり。

中川尚史 『サバンナを駆けるサル』(京都大学学術出版会) ISBN:4-87698-316-X  (2007年,2,300円(著者割引価格1,932円))
中川尚史 『食べる速さの生態学』(京都大学学術出版会) ISBN:4-87698-304-6 (1999年,2,100円(著者割引価格1,764円))
中川尚史 『サルの食卓〜採食生態学入門〜』(平凡社) ISBN:4-582-54623-4 (1994年,2,800円(絶版))
西田利貞・上原重男編 『霊長類学を学ぶ人のために』(世界思想社) ISBN:4-7907-0743-1 ISBN:4-7907-0743-1 (1999年,2,400円)
西田利貞 『人間性はどこから来たか』(京都大学学術出版会) ISBN:4-87698-079-9  (1999年(2007年),2,800円(学術選書版1,800円))
河合香吏(編著)『集団―人類社会の進化』(京都大学学術出版会) ISBN: 9784876989379 (2009年,4,000円(著者割引価格3,360円)
山極寿一『人類進化論−霊長類学からの展開』(裳華房) ISBN:ISBN978-4-7853-5217-2 (2008年,1,900円)
R・ボイド・JB・シルク『ヒトはどのように進化してきたか 』(ミネルヴァ書房) ISBN:9784623058983 (2011年,9,000円)
中川尚史,友永雅己,山極寿一(編)『日本のサル学のあした:霊長類研究という「人間学」の可能性』(京都通信社)ISBN-9784903473529(2012年,2000円(著者割引価格1,680円)

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基礎生物学T(中務真人さんと分担)(前期:木曜1時限理学部6号館402号室)

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ポケットゼミ・霊長類フィールドワーク入門(井上英治さんとの合同)(2012年度前期のみ開講 2013年版京都大学大学案内で紹介されました

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授業の目的と概要

フィールドワークによる動物の行動研究を、ニホンザルを対象に行うことを通じて、その醍醐味を体感してもらうことを最大の目的としています。その過程で、ニホンザルについての理解が進むのはもちろん、データ収集、解析、およびプレゼン等基本的な技術、客観的、論理的な思考法、独自の発想などから忍耐力、体力にいたるまでフィールドワーカーに必要な能力が少しでも養われることを意図しています。

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授業計画

授業計画と内容:

1.教員・受講者自己紹介、ニホンザルに関する概説

2.野外調査方法に関する説明

35.野猿公苑にて野外調査(予備観察含む)

67.調査で収集したデータの解析

8.調査結果発表会

 

野外調査は、5月の土日を利用して合計3日間(9回分の授業に相当)、嵐山モンキーパークいわたやま(http://www.kmpi.co.jp/)にて行います(交通費・入園料は受講者の自己負担)。また、データの解析も集中的に行った方が効率が良いと判断した時には、受講者の皆さんの都合を聞いた上で、そのようにするかもしれません。

本ゼミナールでは、受講者全員共通の主要調査課題を提示します。共通の主要課題に向けて全員が共通の方法でデータを収集することによって、ひとりでは成しえない課題に挑戦してもらいます。しかしこの方法では独自の発想力が培われませんからその欠点を補うべく、それぞれに独自のデータも収集し、共通の方法で収集したデータと合わせて独自の分析を加えられるように導きます。主たる材料は同じでも少し違ったスパイスを加えてみたり、調理法を少し変えるだけで、また違った料理が出来上がるというイメージでとらえてください。

その他の講義サービス実績

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生態学、動物行動学、人類学、生物学、自然科学概論、現代科学論、自然科学史など(シオン短期大学、茨城キリスト教大学、愛知教育大学、神戸市看護大学、関西学院大学、神戸学院大学)

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「霊長類学」(琉球大学理学部集中講義)(1996年10月)

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「霊長類の食物選択―ヒトの普遍性と特異性」(武庫川女子大学生活環境学研究科大学院講義)(2010年5月24日)

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「自然人類学」(富山大学人文学部集中講義)(2015年2月16〜19日)

 

 

Copyright (C) 2003 中川尚史サル学研究室
最終更新日 : 2015/04/24