キュラム

  分

(新)

授業

科目

生態学

Ecology

担当

教員

中川 尚史

(専 任)

開講年次

1年次前期

単位数

  2単位

科目

分類

存在のしくみ

基礎科目

授業形態

講 義

選択必修

選 択

時間数

 30時間

使用教室

ユニティ

授業の目的及びねらい

 

 生態学とは「生物集団と生物学的環境も含むその環境との間の相互関係を調べる学問」と定義できるが、その内容は多岐にわたる。そこで本講義では、うち群集生態学と呼ばれる生態学の一分科に内容を限定する。具体的には、異なる生物種同士が相互に複雑に影響を及ぼし合いながら生きていることを学ぶことを第一の目的とするものである。さらに最終回では、人類の活動がこうした生物種間の複雑な相互関係を根底から崩しつつあるかその現状を学ぶとともに、その打開策に関する問題点について言及する。

 

授業のキーワード

 

   種間関係、競争、捕食と被食、共生、共進化、間接効果、野生生物の減少

 

 講義回数

            授 業  内 容 及 び 計 画

 

第1回

 

第2回

 

第3回〜第7回

 

第8回〜第12回

 

 

 13回

14回

15回

 

I:   はじめに(生態学って何?)

II:生物群集における2種間の相互関係の類型化(損得に着目したタイプ分け)

III:    種間競争(有名なゾウリムシの実験、生態学の大原理『競争排除説』って何?、競争相手がいると餌や住み場所が変わり姿まで変わる、など。)

IV:捕食と被食(捕食者が増えると被食者が減りやがて捕食者が減るのはなぜ?−従来説のウソとホント、カムフラージュの進化を実証したガの工業暗化、ガの羽のパターンが多様なのはなぜ?、擬態−狼の皮をかぶった羊と狼の皮をかぶった狼の話、毒を持つ動物はなぜ派手か、そして群れるのか?、動物の目玉模様−大きな目玉と小さな目玉、動物はなぜ群れるのか?、植物だって身を守る、チンパンジーの薬、食物繊維や緑茶が健康にいいことの不可思議、生物界の軍拡競争と軍縮、医療現場の軍拡競争と軍縮−病原生物もヒトにダメージを与えることが最終目的ではない、など。)

V:   共生(有名な例以外にもある相利共生関係の様々な実例−SOS信号を発する植物、動物界の農業と牧畜、植物は何のために花びらをつけ蜜を出すのか?−そのヒントはあなたのショッピングにあり、植物は何のために果肉をつけるのか?、種子を食べる動物は、種子を隠した場所を忘れることが大切?、相利共生は寄生から進化した、30センチもの中舌を持つガとランの微妙な関係、など。)

VI:間接効果(「風が吹けば桶屋が儲かる」と「敵の敵は友達」)

VII:    エコロジー問題(野生動物の急激な減少は生息地の破壊にあり、ならば生息地を保護すればよいとする先進国の論理は正当か、など。)

VIII: 期末試験

テキスト

 

     プリントを使用。また、視聴覚教材を活用する。

 

参考文献

 

     菊沢喜八郎 著「植物の繁殖生態学」 :蒼樹書房 1995

     伊藤嘉昭 他著「動物生態学」    :蒼樹書房 1992

     中川尚史 著「食べる速さの生態学」:京都大学学術出版会 1999

          これら以外は、講義中に提示します。

成績評価の方法

 

     学期末試験の成績のみで評価します。なお、試験はプリントやノート持ち込み可で

    行います。出席は重視しませんが、試験の結果が悪かった際に考慮します。

 

教員から学生へのメッセージ

 

おそらく多くの皆さんが関心をもたれているだろう「エコロジー」とは本来、この講義の科目名である生態学を指します。このことから分かる通り、前者について深く理解するためには、後者の知識が必須なのです。ですから、「生態学」そのものの理解でなく、「エコロジー」について理解を深めたい方々の履修も歓迎します。なお、写真、ならびにビデオ、時にパフォーマンスも交えるなどして、分かりやすい講義を心がけていますので、生物学の予備知識のない方も受講を躊躇される必要はありません。

 また、相互に関連しますので、「動物行動学」と合わせて受講することをお勧めします。

                       

 

 

 

Copyright (C) 2003 中川尚史サル学研究室
最終更新日 : 2007/08/21