カリキュラム

  分

(新)

授業

科目

動物行動学

Animal Behavior

担当

教員

中川 尚史

(専 任)

開講年次

1年次前期

単位数

  2単位

科目

分類

関係のしくみ

基礎科目

授業形態

講 義

選択必修

選 択

時間数

 30時間

使用教室

 

授業の目的及びねらい

 

 すべての動物は、意識無意識かは別にして、できるだけ多くの子孫を、さらに言えば自分と同じ遺伝子をより多く残すように行動している。より正確に言うなら、こうした行動をとる個体が、自然選択の結果、生き残ってきたわけである。

 本講義では、動物が如何により多くの子孫を残していくかという観点から、彼らの交尾、出産、育児といった繁殖に関わる行動を見ていくとともに、我々が日常的に当然だと思っている生物学的事実について考えてみたい。

 

授業のキーワード

 

   自然選択、行動生態学、繁殖行動

 講義回数

            授 業  内 容 及 び 計 画

 第1回〜 第4

 

 

5回〜第9回 

 

 

 

 

第10回

 

 

 

 

11〜第13回

 

14回

 

15回

 I:  

 無性生殖ー性がなくても子孫が残せる、非能率的な有性生殖、なぜ雄と雌がいて、雄と雌しかいないのか、雌雄同体と性転換ー雄と雌が異なる個体である必要はない(フジツボのセックス、究極のひもチョウチンアンコウ)、雄と雌のどちらが得か、なぜ雄と雌はほぼ同じ数だけいるのか、性比が1対1からずれる場合はどんな場合か、雄か雌かは如何にして決まるのか、など。

II:交尾戦略

 ダーウィンは悩んだー雄ジカには角があり雌ジカにはなく、雄クジャクでは美しい尾羽があり雌クジャクにはないのか、雌を巡って正直に争う雄と姑息な手段を取る雄、交尾後も雌をガードするトンボの雄、雌から他の雄の精子をかき出すトンボの雄、なぜゴリラの精巣が小さくチンパンジーの精巣は大きいのか、雌の浮気を防ぐために貞操帯を付けるチョウの雄、他の雄の子供を殺すライオンの雄、目玉模様の多い雄を選ぶ雌クジャク、多くの貢ぎ物をくれる雄を選ぶガガンボモドキ、なぜ雄が雌を巡って争い雌が雄を選ぶのか、雌による雄の選り好みはどのように進化するのかー美しい雄は健康の証明、雄が雌を選ぶコオロギ、など。

III:   出産戦略

 卵の数と大きさはどのように決まるか、少なく産んでしっかり育てるタイプと死んでもいいからたくさん産むタイプ、など。

W:婚姻形態

 多くの鳥は一夫一妻で多くの哺乳類は一夫多妻、子を捨てる鳥たち、浮気をする鳥たち、など。

V:  育児戦略

 様々な子育てー自ら子の餌になるクモ、口の中で育児する魚、胃の中で育児するカエル、子の世話をするのは雄か雌か、それはなぜ決まるのか、両親の子育てを手伝う兄姉、ひとつの巣を共有する鳥たち、他人や他種に卵を預ける鳥たち、など。

VI:被育児戦略

 親と子の対立と駆け引きーできるだけ多くの保護を引きだそうとする子どもたち、など。

VIII: 期末試験

テキスト

 

     プリントを使用。また、視聴覚教材を活用する。

 

参考文献

 

     上田恵介著、「一夫一妻の神話」 蒼樹書房 1987年

   長谷川真理子著、「オスとメス=性の不思議」 講談社現代新書 1993年

    これら以外は、講義中に提示します。

成績評価の方法

 

     学期末試験の成績のみで評価します。なお、試験はプリントやノート持ち込み可で行います。出席は重視しませんが、試験の結果が悪かった際に考慮します。

教員から学生へのメッセージ

 

 あなたは、講義内容で挙げた事実のうち幾つ知っていましたか、また素朴な疑問に幾つ答えられましたか。これらの事実をより詳しく知りたい、あるいは疑問を解きたいと思った諸君はぜひ受講して下さい。あなたのこれまでの動物の行動、ひいては人間の行動に対する見方が、ひっくり返ることを請け合います。また、相互に関連しますので、「生態学」と併せて受講することをお勧めします。
                       

 

 

 

Copyright (C) 2003 中川尚史サル学研究室
最終更新日 : 2007/08/21