(教     名)

 

中川尚史

(講座〜学科目群)

 

人間科学V

(専攻分野)

 

動物生態学

(研究室番号)

 

2−6

(指導人数)

 

5人

 

(担      目)

 

動物行動学、生態学

(研究領域、指導可能領域)

私の研究領域は、霊長類を対象にした採食生態学です。分かり易く言えば、サルが「いつ」、「どこで」、「何を」、「どのように」食べ、それは「なぜ」なのかを探る学問です(詳しくは、拙著『サルの食卓』(平凡社)、『食べる速さの生態学』(京都大学学術出版会))が図書館にありますので参考にして下さい)。ですから、厳密に言えば、責任持って指導できるのもこの領域の範囲内です。しかし、看護大学の学部生である皆さんにここまで指導可能領域を狭めれば、どなたからも指導教員として選んでもらえないことでしょう。

そこで、私の許容可能な範囲で領域を最大限に広げ、ヒト以外の動物を対象にした行動の機能に関する研究を指導可能領域とします。動物行動学を受講した皆さんにはお話しした通り、行動の研究といってもそのアプローチの仕方により4通りあり、機能に関する研究とは、なぜその行動が進化してきたのかを探るアプローチです。それに対し例えば、行動の機構(メカニズム)に関する研究とは、その行動がどのように発現するかを探るアプローチです。分かりやすい例を挙げれば、春になって雄のウグイスがさえずるという行動に対し、日長が長くなり体内のホルモンレベルが変化したためというような答えを導こうとするのが後者のアプローチであり、配偶相手を引きつけるためという類いの答えを導こうとするのが前者のアプローチです。

なお、対象をヒト以外としたのは、ヒト以外の動物の行動が遺伝子に規定されるのに対し、ヒトの行動は文化によって制約を受けるので、両者を同列に扱うのは危険が伴うためです。しかし、テーマにより、あるいは皆さんの熱意によっては、ヒトも対象に含める場合もありますから、相談して下さい。

 

(演習のねらい、進め方、評価方法等)

  研究の目的を定めてデータを収集し、分析して得られた結果から、先行研究も参考にして結論を導き出す。そして、口頭で発表し、さらには論文(レポート)にまとめるという、看護研究とも共通する研究のプロセスを学習してもらうのが、本演習のねらいです。ただし、本学において、上述の領域で本演習を遂行するにはかなりの困難を伴います。例えば、動物の行動に関するデータを収集するといっても、皆さんがかけることのできる時間はたかが知れているでしょう。野生の動物を扱うにはとても時間がありません。かといって学内で動物を飼育する設備も十分ではありません。せいぜい、動物園や水族館での観察になるでしょうか?ですから、文献研究もよしとします。ただし、本研究分野のすぐれた研究論文の多くは英語で書かれていますから、特に文献研究の場合は、英語で書かれた多くの論文を読破する覚悟が必要です。以上のような制約や要求される能力を覚悟の上で、私の演習を履修して下さい。

  本演習のねらいが研究のプロセスを学習すること、また上述のような制約が多いことを鑑み、内容的にはレベルの高い論文は求めません。ですが、1月末頃(予定)をめどに、体裁上は整った原稿用紙10枚程度のレポートは提出してもらいます(ただし、抄録締め切りは1220日)。また、レポート提出前に研究成果を口頭で発表してもらいます。それ以外にも、随時、研究の軌道修正のために、進行状況の報告をしてもらうことはもちろんのことです。

  口頭発表と論文が主たる評価対象となりますが、進行状況の報告を怠れば減点の対象となります。

参考のために、これまで私が担当した学生のテーマを以下に列記しておきます(詳しくは、「看護研究演習抄録集」をご覧下さい)。

「飼育下のキンシコウの毛づくろい行動における互恵性の認識」(行動観察)

「鯨類における乳母行動」(文献研究)

「飼育下におけるチンパンジーの挨拶行動について」(行動観察)

「同性愛の進化生物学的研究」(文献研究)

 

 

(学生へのメッセージ)

  不明な点があれば、遠慮なく研究室まで相談にきて下さい。

将来、大学院生、大学教員、看護師等、いずれの立場であっても、研究を行っていきたいという希望を持っている方を歓迎します。

 

 

 

Copyright (C) 2003 中川尚史サル学研究室
最終更新日 : 2007/08/21