第40回日本霊長類学会大会の大会実行委員長を務めさせていただきます、石巻専修大学の辻大和です。40回目の節目の大会は、杜の都・仙台で開催されます。仙台での開催は3度目、そして東北地方での開催は、2017年の福島大会以来7年ぶりとなります。

 日本霊長類学会の会員は、野外・実験室・博物館・動物園と多彩なフィールドで、基礎から応用まで、霊長類を対象としたさまざまな研究を行っています。70 余年にわたる長期継続研究から生み出された成果には、世界にインパクトを与えたものも少なくありません。しかし、霊長類の長期継続調査を取り巻く最近の環境は、研究分野の細分化と研究予算の「選択と集中」の流れを受けて厳しさを増しており、研究体制維持と人材確保が急務となっています。科学研究の維持・発展には、公的支援のみならず、研究活動に対する一般市民の理解と支援、そして次世代の研究を担う若者への働きかけが不可欠です。そこで仙台大会では「長期継続研究」をキーワードに、各分野の研究のこれまでの成果を市民に紹介し、研究対象としての霊長類の魅力を知ってもらうための公開シンポジウムを企画しました。シンポジウムでは各分野の若手研究者が、霊長類を対象とした長期継続研究がそれぞれの分野の発展にいかに貢献してきたか、そして長期研究の意義とは何か、高校生から社会人向けにわかりやすく紹介します。参加者と登壇者の交流を通じ、霊長類の研究に対する市民の理解の促進を図りたいと考えております。

 大会のメイン会場は、仙台市中心部の東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)です。JR仙台駅からのアクセスは容易で、会場周辺には飲食店街も充実しています。大会後には、金華山の見学ツアーや震災復興関連施設の見学会も企画しています。3日間と短い会期ではございますが、ぜひとも多くの会員の皆様に東北の風景・酒・味覚を満喫していただきたいと思います。

 皆さんのお越しを、実行委員一同でお待ちしております。

2024年1月9日
大会実行委員長 辻大和