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解説:中川尚史.フィールドワークと思索.世界思想,2005,32:50-53.
                                       

                                                               

(要旨と解説)

 編集者より「思索と実践」をテーマにした特集を組むので,これに応じて寄稿したエッセイです。あらかじめお題を頂戴して書いたり,話たりするのは,「引き出し」が広くない私にとっては結構大変なことなのですが,このテーマについては,日常的に考えていたことなので筆がすすみ,あっという間に書き上げることができました。

 日常的に考えていたこととは,フィールドでサルを実際に観察しながら「これはおもろい!」と思ったことを研究するのがフィールドワークの醍醐味であり,さらに言うなら,論文にまで仕上がる程度のテーマをそうやって選べる感性こそが,フィールドワーカーには必須である,ということです。本稿では「さらに言うなら」以降までは書いていませんが,それが本心です。

 本稿では,論理的に筋道を立てて仮説を練り上げる作業を「思索」,対象を観察することを通じて検証データを収集する作業を「実践」と見なして,特にフィールドワーカーにとっての「思索」を,フィールドで行うことの醍醐味について,私の体験に基づいて書きました。