中川尚史中川尚史 “ふつう”のサル(の)学研究室

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解説:Nakagawa N. 2013. The Function and Evolutionary History of Groups in Primates: Focusing on Sex Differences in Locational Dispersal. In: Kawai, K, ed. Groups, Kyoto University Press, Kyoto.

(解説)

 本稿は、2009年12月30日に出版された河合香吏編『集団―人類社会の進化』の翻訳本に所収された章「霊長類における集団の機能と進化史―地理的分散の性差に着目して」です。ただし、この本は売れ行き好調により、2012年5月20日に第2刷が発行され、その過程で若干の改訂を行ったため第2刷の翻訳本と言えます。具体的な改訂は、オランウータンの地理的分散についてで、2010年9月に私自身が事務局長として開催した国際霊長類学会で、雌偏向分散の証拠が提示され、その後論文も出されたのでその結果を追加したことです。また、第2刷の翻訳本とも言えない点として、引用文献を英語のものにある程度変更した点も挙げられます。日本語の本では、英語論文がオリジナルであっても一般向けには日本語の本のほうが読みやすいだろうとの配慮から、むしろ日本語の本を積極的に引用しました。英語の本ではそれが逆に裏目に出るので、英語論文を引用するようにしたということです。オーストラリアのプロの翻訳家によって訳してもらえるという非常に恵まれた初めての経験で、自分の英語がこんなふうに英語に訳されるのかと、たいへん勉強になりました。その過程で、専門用語を適切なものに改めたり、私のつたない英語能力ながら私の意図とは違う訳がなされている部分を修正することはありましたが、自分で全訳することを考えるとずいぶんと楽をさせてもらいました。

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