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解説:中川尚史,友永雅己,山極寿一(編)2012.『日本のサル学のあした―霊長類研究という「人間学」の可能性』,京都通信社,京都.
(解説)
本書は、サル学の様々な研究分野を網羅した若手研究者が著した初めての本です。本書の企画趣旨は、序章にも書きましたし、一部出版社のウェブサイトでも読めるので、詳しくは繰り返しませんが、いわば若手研究者によるさらに若い学部生や高校生に向けたサル学への誘い書です。執筆者にとってのサル学全般をカバーする誘い書として、著名ジャーナリストの手による『サル学の現在』(立花隆著、1991年刊行)がありましたが、そこでインタビューされた当時の研究者は、冒頭の章の私と同級生の岡安直比さん(現在、WWFジャパン)と2年下の井上美穂さん(現在、村山美穂:京大野生動物研究センター)を除けば、ほとんど皆さん先生たちだったと思います。その点が、タイトルの「現在」と「あした」に表れています。その点からいえば、「あした」を担うサル学者から「あさって」のサル学を担う若者への誘い書です。ただ、一部、私も含め中堅・シニアの研究者も、コラム「直伝 フィールド&ラボワーク術」を通して、その極意の直伝という形で加わっています。ちなみに、私は研究テーマの決め方の極意として、「フィールドに出よ!そしてサルから学べ!」というコラムを書いています。また、資料としてサル学を大学院生として研究できる主な研究室のリストもあります。こちらも出版社のウェブサイトでみていただけます。