中川尚史中川尚史 “ふつう”のサル(の)学研究室

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解説:Nakagawa N. 2017. SUGIYAMA, Yukimaru, In: Fuentes, A., ed. International Encyclopedia of Primatoloogy, vol. III: 1352-1353, Wiley-Blackwell, UK.

(要旨と解説)

 本稿は、1-3巻から構成される霊長類学初の百科辞典の第3巻(P-Z)に所収された私の大学院博士後期課程の指導教官であるた杉山幸丸先生のプロフィール、ならびにご研究の概要を紹介したものです。もともと杉山さんはじめ日本人霊長類研究者の紹介文執筆者者の人選は、本辞典の編者のひとりであった山極壽一さんが担当されることになっていたそうなのですが、総長就任に伴う多忙のために辞退され、困ったFuentesさんが旧知のDavid Spragueさんに相談し、さらにSpragueさんから私が相談されて、彼と二人で執筆者を人選したという経緯があります。今西錦司、伊谷純一郎、杉山幸丸、加納隆至、伊沢紘生、山極壽一、松沢哲郎の項がある中で、河合雅雄、川村俊蔵、西田利貞の項がないのは、解せないところがあります。執筆者の人選を依頼された時、彼らのお名前がないことにもちろん気づいたのですが、山極さん以外の方が担当しているためだろうと信じ切っていました。それが証拠に、杉山さんの紹介文の中で、チンパンジーに単位集団があることを報告した論文を、西田さんの同様の内容の論文と同じPrimates誌の号に掲載されたことに触れるとともに、西田利貞の項参照と書きました。西田利貞の項がないはずはないと信じていたからです。しかし、ふたを開けてみると、西田利貞の項はなく、西田利貞の章参照だけが残っていました。ないならないで、ここは編者が削るべきところです。というように納得できない不備もありますが、行動学、生態学、遺伝学、分類学、認知科学などなど多岐にわたる450以上の項目を含んでいますから、ひとり一冊というには高価(3巻で7-8万円)ですが、研究室にひとつはあるべき本でしょう。

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