中川尚史中川尚史 “ふつう”のサル(の)学研究室

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解説:中川尚史.書評『ニホンカモシカー行動と生態(落合啓二著)』.霊長類研究,32:73-75,2016.

(解説)

 本書の書評依頼は、その出版元である東京大学出版会編集部の光明義文さん経由で届いた。著者である落合さんご指名とのことである。書評でも書いたが落合さんは、下北半島でなんと40年間の長期にわたり、なんと118頭ものニホンカモシカの個体識別に基づいたお家芸であるはずの霊長類学者顔負けの研究を行われてきた方である。私の指導学生であった谷口晴香さんが下北半島でニホンザルを研究していたとき、彼女の陣中見舞いで下北を訪れ、落合さんにお目にかかっており旧知であったということもあったが、二つ返事でお引き受けした。そこで、どの雑誌に掲載するのかいいですかとお尋ねしたところ、『霊長類研究』を希望されるとのこと。私は別の雑誌を想定していたのだが、落合さん自身これまで霊長類学を意識して研究をしてこられたとのことでの希望であった。氏のご希望に沿った書評が書けたかは定かではないが、自信はある。霊長類研究者は、ぜひ一読し、その凄みを味わって欲しい。書評でもオリジナリティーを追求している私としては、本書評は比較的正当派の書評であるが、『霊長類研究』に非霊長類を対象とした本の書評を掲載したことがオリジナリティーである。

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