中川尚史中川尚史 “ふつう”のサル(の)学研究室

English

全体の趣旨

 本集会は、日本学術振興会補助金基盤研究B「ニホンザルの社会的慣習:インテンシヴ&エクステンシヴ・アプローチ」(課題番号17H02436;代表者:中川尚史)の成果を、オンラインも駆使して広く知っていただく機会を提供することを第1の目的としている。本研究課題は、ニホンザルの社会行動の文化を、インテンシヴ、エクステンシヴな両方のアプローチから明らかにすることを目的としている。前者については文化的な個体群間経にが分かっている抱擁行動(Nakagawa et al. 2015)について、その個体発生と伝播、抱擁のない文化における代替行動について野外調査から明らかにすることを目的としている。後者については、抱擁行動のみならず社会行動の個体群間変異を広く抽出するためにアンケート調査を行うとともに、抱擁行動の個体群内変異の野外調査を行う。中川を研究代表者とし、中道正之氏(大阪大学)、杉浦杉浦秀樹氏(京都大学)、下岡ゆき子氏(帝京科学大学)、上野将敬氏(近畿大学)を分担者としている。
 本集会の第2の目的でありユニークな点は、ニホンザルの社会的慣習を含めた文化的行動を身近な猿害地で探索するとともに、特に若手の基礎科学研究者にとって最近縁遠くなっている猿害現場の現状と対策を体感する機会を提供することにある。森光由樹氏(兵庫県立大学)、鈴木克哉氏(NPO法人里地里山問題研究所:さともん)、清野未恵子氏(神戸大学)を講師陣として招く。

成果発表(第1日)

  • 日時:2022年6月11日(土) 13:00~17:30
  • 会場:新大阪丸ビル新館4階405号室(大阪市東淀川区東中島1-18-27)
  • 方式:対面とZoomによるオンラインのハイブリッド
  • プログラム:
  • 開始  終了 演題(仮題)  演者
     13:00 13:20  趣旨説明と社会的慣習としての抱擁  中川尚史(京都大学) 
     13:20 13:40  抱擁がない神庭の滝での代替行動  上野将敬(近畿大学) 
     13:40 14:00  抱擁がある金華山での代替行動  中川尚史(京都大学) 
     14:00 14:20  社会的慣習のはじまりー屋久島における尻つけ  半沢真帆(京都大学)
         <休憩>  
     14:30 14:50  新たに見つかった小豆島の抱擁  石塚真太郎(東邦大学) 
     14:50 15:10  屋久島における抱擁の群間変異  中川尚史(京都大学) 
     15:10 15:30  屋久島における抱擁の発達  田伏良幸(京都大学) 
     15:30 15:50  金鼻山における抱擁の長期変動  中川尚史(京都大学)
         <休憩>  
     16:00 17:00   現場実習事前講義1(ニホンザル保護管理概論) 森光由樹(兵庫県立大学) 
     17:00  17:30  現場実習事前講義2(篠山での取り組み 鈴木克哉(さともん)
  • 【関連業績】
    • 中川尚史.金華山島のニホンザルにおける抱擁行動パタンの変異とその代替行動.第34回日本霊長類学会大会.2018年7月.(学会発表)
    • 田伏良幸.ヤクシマザルにおける抱擁行動の発達過程―アカンボウからオトナを含めて.第34回日本霊長類学会大会.2018年7月.(学会発表)
    • Nakagawa N, Hikida K: Changes observed across generations in the frequency of a social customary behavior in Japanese macaques (Macaca fuscata). XXXVIIth Congress of the International Primatological Society. August, 2018.(学会発表)
    • 中川尚史.金華山島のニホンザルで見られる複合感覚信号としての抱擁行動.第37回日本動物行動学会大会.2018年9月.(学会発表)
    • 中川尚史,疋田研一郎.ニホンザルにおいて観察された社会的慣習の世代を超えた頻度の変遷.第35回日本霊長類学会大会.2019年7月.(学会発表)
    • 中川尚史.霊長類の社会的慣習:ニホンザルの抱擁行動.日本動物学会第90回大阪大会シンポジウム「エソロジー(動物行動学)の新展開」.2019年9月.(学会発表)
    • 田伏良幸.屋久島のニホンザルにおける多様な型の抱擁行動の社会的学習過程.第36回日本霊長類学会大会.2020年12月.(学会発表)
    • 半沢真帆.屋久島の野生ニホンザルで観察されたオス間の尻つけ行動の初記録.霊長類研究, 2020, 36(2): 33-38.(論文発表)
    • 中川尚史.映像アーカイブを用いたニホンザルにおける稀にしか見られない行動に関するアンケート調査結果報告:個体群の文化的変異に焦点を当てて.霊長類研究, 2021, 37(1): 17-34.(論文発表)
    • 中川尚史,半沢真帆,澤田晶子,藤田志歩,田伏由幸,杉浦秀樹.屋久島のニホンザルにおける抱擁行動の文化的群間変異.第37回日本霊長類学会大会.2021年7月.(学会発表)

現場実習(第2日)

  • 日時:2022年6月12日(日) 10:00~16:30
  • 場所:兵庫県丹波篠山市
  • プログラム:
  •  開始  終了 内容  詳細  講師
     8:30~ 各自大阪のホテル発  
     10:00 JR福知山線篠山口駅集合  
     10:10 10:30  <移動>    
     10:30 12:00 現場実習1 テレメ実習+行動観察(抱擁など)、住民主体のサル対策現場訪問(住民の方のお話と追い払い実践)、おじろ用心棒式電気柵とICT大型捕獲檻見学    森光由樹(兵庫県立大学) 鈴木克哉(さともん)  清野未恵子(神戸大学)
     12:00 13:00 <昼食:神戸大学篠山フィールドステーション>
     13:00 13:30  <移動>
     13:30 16:00   現場実習2
     16:00  16:30  <移動>    
     16:30 JR福知山線篠山口駅解散    
  • 参加申し込み

    本集会では、大学院生、ポスドク等若手研究者の参加を推奨しています。これらの方々は、原則成果発表会の対面参加を条件に、交通費(実費相当)、宿泊費1泊分(8,500円)、および実習に係る費用を全額補助します。ただし、現場実習遂行の都合上、科研費分担者、講師陣含め先着順32名に限らせていただきますのでご容赦ください。


謝辞

  • 2日目のプログラムは概ね一般社団法人ニホンザル管理協会が行う集中セミナーの内容のため、同協会との後援とする。また、参加者への資金援助は、日本学術振興会補助金基盤研究B「ニホンザルの社会的慣習:インテンシヴ&エクステンシヴ・アプローチ」(代表者:中川尚史)に拠る。


メニューボタン