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解説:Nakagawa, N.: Bioenergetics of Japanese Monkeys (Macaca fuscata) on Kinkazan Island During Winter. Primates, 1989, 30:441-460
(要旨)
冷温帯の金華山の晩秋から晩冬にかけてのニホンザルの栄養状態を調べた。その結果、晩秋期にはカロリー・蛋白質とも必要量を上回っているのに対し、晩冬期には共に必要量を下回っていた。食物環境の低下に起因するこの栄養状態の悪化に対しサルは、1)食物の多様度を増し、2)1日の移動距離を減らし3)土地の重複利用を避けるよう遊動するという戦略を用いた。
(解説)
冷温帯に生息するニホンザルとしては初めて、その栄養摂取量を定量化した研究。
拙著『食べる速さの生態学-サルたちの採食戦略』(中川、1999)の中で、日本語で紹介しています。