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解説:中川尚史.サバンナで生きるために 日中に出産するパタスモンキー.アニマ,1992,243(12月号):80-85.
(要旨)
要旨は題目に集約されている通り、日本霊長類学会の和文機関誌であるところの『霊長類研究』の学術雑誌としての存在意義は、和文の総説を掲載することにこそあり、パタスモンキーは、昼行性霊長類としては珍しく日中に出産する。それは、彼らが住むサバンナは夜間の捕食圧が高く、かつ日中の暑さを避けるために群れの活動性が低下するため群れからはぐれる危険も少ないためであると考えられていた(Chism et al., 1983)。著者が調査しているカメルーンのパタスモンキーでも昼間出産が見られ、そしてまたそれが夜間の捕食圧を避けるためであるという、Chism et al.(1983)を追認する結果が得られた。
(解説)
単なる追試であり、またデータ数も少ないことから、学術雑誌には投稿せず、運良く撮影できたパタスの昼間出産シーンの写真の掲載を優先させ、「アニマ」誌に投稿した。「アニマ」誌は、幼少時まだ会員購読だった時代から愛読していた雑誌で、個人的思い入れが強かったせいもある。なんと、「アニマ」誌は翌月号をもって廃刊となり、すべり込みで恩返しができた。