中川尚史中川尚史 “ふつう”のサル(の)学研究室

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解説:中川尚史.書評『動物の「食」に学ぶ』(西田利貞著),生物科学,2002,54(1):57.

(要旨と解説)

 西田利貞先生からご高著を頂き、その内容に大変感銘を覚え、私の専門分野についての内容でもあったことから、僭越ながらぜひとも書評をと考えました。先の追悼文もそうですが、実は書評を書くのも初めての経験です。せっかく書くのなら追悼文(中川、2002)同様、一風変わった書評を書きたいというのが、まずはじめにありました。単なる紹介文では書評とはいえないのはもちろんですが、長所と短所を書き添えるだけでは芸がありません。他方、著者が訴えていることを別の表現で言い換える類いの書評は、確かに著者としては「よく読みこんでくれている」と感じうれしいもので、かつ読者の講読意欲を高めてくれることにもなるでしょう。しかし、著者が意図したものではない別の読み方を読者に提供することも、書評の大切な意義であると考えました。

 日本動物行動学会で「ニコ・ティンバーゲンの4つの問い」の再評価するシンポジウムが行われましたが、その前後から私自身の中でも「食行動」についてこの問いを再考する意識が高まっていました(中川、2001参照)。そして、西田先生のこの著作には、大なり小なり「食行動」について「ニコ・ティンバーゲンの4つの問い」それぞれと関係する話題が提供されていたのです。そこで『生物科学』が初学者(修士課程レベル)を対象とした雑誌であることを鑑み、この著作を4つのアプローチの違いを意識しながら読むことは、自身の研究の位置づけと方向性を見定める上で有効なのではないかという提案をもりこんだ次第です。

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