インタラクションの境界と接続
―サル・人・会話研究から―
木村大治・中村美知夫・高梨克也 編、昭和堂、2010年3月刊行、445ページ、定価(本体4400円+税)、ISBN978-4-8122-1008-6 C3036、 Amazon/ 紀伊國屋書店/ 楽天ブックス/ セブンアンドワイ
ご案内
社会的なインタラクションという不思議な現象について、サルも人間もひっくるめて議論したい。そんな目的意識で長い間続けてきた「インタラクション研究会」の成果をまとめた本です。
学術書ですが、サルや人間のインタラクションについて多彩な事例が掲載されていますので、是非多くの方に手にとっていただきたいと存じます。
学術書ですが、サルや人間のインタラクションについて多彩な事例が掲載されていますので、是非多くの方に手にとっていただきたいと存じます。
目次
まえがき
第T部 インタラクションの構造と理解
第1章 インタラクションと双対図式 木村大治
1 「インタラクション」とは何か/2 インタラクション研究における問題 点/3 双対図式/4 本書の構成
第2章 霊長類学におけるインタラクション研究―その独自性と可能性 中村美知夫
1 霊長類学とインタラクション研究/2 なぜ霊長類のインタラクションは扱いにくいのか/3 インタラクションを記述する/4 霊長類のインタラクション研究の独自性と可能性
第3章 インタラクションにおける偶有性と接続 高梨克也
1 問題意識/2 コミュニケーションとインタラクション/3 コミュニケーションの背後にある個体の認知能力/4 インタラクションの連鎖的定義/5 まとめ
第4章 意図性帰属の勾配―他者に意図性を帰属することの起源 橋彌和秀
1 「他者の意図性」の何を問題にするか/知覚バイアスとしての「他者の意図性」/3 他者の問題/4 意図性の問題 /5 ヒトにおける「他者の意図性検出」の特異性/6 生得的解発機構を発動する生態学的環境/7 まとめ
第U部 インタラクションの境界
第5章 野生チンパンジーの「対面あいさつ」の記述分析―その枠組みについて 坂巻哲也
1 チンパンジーの「挨拶」と「対面あいさつ」/2 「対面あいさつ」を記述する方法/3 「対面あいさつ」の組織化における諸特性/4 社会的相互行為の「枠組み」としてのチンパンジーの「対面あいさつ」
第6章 実感されるろう文化―コミュニケーションの逸脱の事例 亀井伸孝
1 本論のねらい/2 ろう文化概念をめぐる議論/3 ある逸脱の事例/4 逸脱の分析/5 考察
第7章「 見る」−「見られる」による相互行為の創出と拡張―チンパンジーの覗き込み行動の分析から 藤本麻里子
1 視線を用いた相互行為/2 マハレのチンパンジーの覗き込み行動/3 多者交渉に参加する個体間の相互行為/視線を介した相互交渉についての考察
第8章 そのインタラクションを私たちはなぜ「遊び」と呼ぶのか―ニホンザルのワカモノ間インタラクションの映像分析から 島田将喜
1 はじめに/2 遊びのインタラクション研究における従来の方法論の検討/3 ワカモノ同士の接触を伴うインタラクションの分析/4 遊びらしさのありか
第9章 手話会話における分裂―視覚的インタラクションと参与枠組み 坊農真弓
1 はじめに ― お茶を飲むタイミングがわからない/2 手話会話分析を始めるために/3 2つの視覚的関与対象 ― 昼食と会話をめぐって/4 分裂が開始されるとき,終了されるとき/5 おわりに ―隣の言語コミュニティに対して思うこと
第10章 偶有性にたゆたうチンパンジー―長距離音声を介した相互行為と共在のあり方 花村俊吉
1 チンパンジーの離合集散と長距離音声/2 相互行為としてのパントフートのやりとり/3 パントフートの発声と返事の不在/4パントフートの聴取と返事の有無/5 聴覚的な共在の生成・拡散と消失の過程
第11章 相互行為のポリフォニー―バカ・ピグミーの音楽実践 分藤大翼
1 はじめに ― CDを聴いて/2 バカとその音楽/3 音楽実践の分析と記述/4 考察 ― 音楽実践とインタラクション
第V部 インタラクションの接続
第12章 「Co-act」と「切断」―バカ・ピグミーとボンガンドにおける行為接続 木村大治
1 行為接続と対話ドグマ/2 アフリカの2つの事例/3 相互行為に内在する問題点とその解決/4 おわりに
第13章 話し手になること,話し手になろうとしないこと―グループ・ディスカッションに見られる長い沈黙から 森本郁代
1 はじめに/2 分析の視座/3 データの概要/4 グループ・ディスカッションにおける長い沈黙/5 グループ・ディスカッションの「枠」と「接続」
第14章 群れの移動はどのようにして始まるのか?―金華山の野生ニホンザル 伊藤詞子
1 はじめに ― 群れる/2 金華山島A群とさまざまな関係カテゴリー/3 一日の移動/4 舞台装置/5 開始者/6 追 随者/7 おわりに ― 共に移動することを可能にすること
第15章 バカ・ピグミーの歌と踊り―演技技法の分析に向けて 都留泰作
1 はじめに/2 精霊パフォーマンスにおける演技の分析/3考察 ― 演技技法とインタラクション
第16章 「より知る者」としての立場の確立―言い間違いの指摘とそれに対する抵抗 鈴木佳奈
1 会話における知識の有無の表示/2 分析する会話事例の概要/3 「より知る者」としての立場の主張/4 「より知る者」としての立場を確立するための交渉/5 知識の有無と「より知る者」としての立場の主張
第17章 チンパンジー同士の相互行為からうまれる食物の価値 清野未恵子
1 チンパンジーが「食べる」こと/2 隠れている食物を食べる/3 隠れている食物をやりとりする ― 枯枝のアリ食行動におけるチンパンジー同士の相互行為/4 チンパンジーが共に食べること
第18章 相互行為を支えるプラグマティックな制約―セントラル・カラハリ・サンにおける模倣活動の連鎖組織 高田明
1 はじめに/2 他者と同じように行為する/3 グイ/ガナ ―民族的背景/4 映像を用いた相互行為分析/5 結論
第19章 相互行為は終わらない―野生チンパンジーの「冗長な」やりとり 西江仁徳
1 はじめに ― チンパンジーの相互行為を理解すること/2「 冗長な」やりとり ― アリ釣り場における母子間相互行為の様態/3 「冗長なやりとり」とはどのようなものか/4 むすびにかえて ― 終わりのない〈観察=相互行為〉へ
あとがき
用語集
引用文献
事項索引
人名索引
第T部 インタラクションの構造と理解
第1章 インタラクションと双対図式 木村大治
1 「インタラクション」とは何か/2 インタラクション研究における問題 点/3 双対図式/4 本書の構成
第2章 霊長類学におけるインタラクション研究―その独自性と可能性 中村美知夫
1 霊長類学とインタラクション研究/2 なぜ霊長類のインタラクションは扱いにくいのか/3 インタラクションを記述する/4 霊長類のインタラクション研究の独自性と可能性
第3章 インタラクションにおける偶有性と接続 高梨克也
1 問題意識/2 コミュニケーションとインタラクション/3 コミュニケーションの背後にある個体の認知能力/4 インタラクションの連鎖的定義/5 まとめ
第4章 意図性帰属の勾配―他者に意図性を帰属することの起源 橋彌和秀
1 「他者の意図性」の何を問題にするか/知覚バイアスとしての「他者の意図性」/3 他者の問題/4 意図性の問題 /5 ヒトにおける「他者の意図性検出」の特異性/6 生得的解発機構を発動する生態学的環境/7 まとめ
第U部 インタラクションの境界
第5章 野生チンパンジーの「対面あいさつ」の記述分析―その枠組みについて 坂巻哲也
1 チンパンジーの「挨拶」と「対面あいさつ」/2 「対面あいさつ」を記述する方法/3 「対面あいさつ」の組織化における諸特性/4 社会的相互行為の「枠組み」としてのチンパンジーの「対面あいさつ」
第6章 実感されるろう文化―コミュニケーションの逸脱の事例 亀井伸孝
1 本論のねらい/2 ろう文化概念をめぐる議論/3 ある逸脱の事例/4 逸脱の分析/5 考察
第7章「 見る」−「見られる」による相互行為の創出と拡張―チンパンジーの覗き込み行動の分析から 藤本麻里子
1 視線を用いた相互行為/2 マハレのチンパンジーの覗き込み行動/3 多者交渉に参加する個体間の相互行為/視線を介した相互交渉についての考察
第8章 そのインタラクションを私たちはなぜ「遊び」と呼ぶのか―ニホンザルのワカモノ間インタラクションの映像分析から 島田将喜
1 はじめに/2 遊びのインタラクション研究における従来の方法論の検討/3 ワカモノ同士の接触を伴うインタラクションの分析/4 遊びらしさのありか
第9章 手話会話における分裂―視覚的インタラクションと参与枠組み 坊農真弓
1 はじめに ― お茶を飲むタイミングがわからない/2 手話会話分析を始めるために/3 2つの視覚的関与対象 ― 昼食と会話をめぐって/4 分裂が開始されるとき,終了されるとき/5 おわりに ―隣の言語コミュニティに対して思うこと
第10章 偶有性にたゆたうチンパンジー―長距離音声を介した相互行為と共在のあり方 花村俊吉
1 チンパンジーの離合集散と長距離音声/2 相互行為としてのパントフートのやりとり/3 パントフートの発声と返事の不在/4パントフートの聴取と返事の有無/5 聴覚的な共在の生成・拡散と消失の過程
第11章 相互行為のポリフォニー―バカ・ピグミーの音楽実践 分藤大翼
1 はじめに ― CDを聴いて/2 バカとその音楽/3 音楽実践の分析と記述/4 考察 ― 音楽実践とインタラクション
第V部 インタラクションの接続
第12章 「Co-act」と「切断」―バカ・ピグミーとボンガンドにおける行為接続 木村大治
1 行為接続と対話ドグマ/2 アフリカの2つの事例/3 相互行為に内在する問題点とその解決/4 おわりに
第13章 話し手になること,話し手になろうとしないこと―グループ・ディスカッションに見られる長い沈黙から 森本郁代
1 はじめに/2 分析の視座/3 データの概要/4 グループ・ディスカッションにおける長い沈黙/5 グループ・ディスカッションの「枠」と「接続」
第14章 群れの移動はどのようにして始まるのか?―金華山の野生ニホンザル 伊藤詞子
1 はじめに ― 群れる/2 金華山島A群とさまざまな関係カテゴリー/3 一日の移動/4 舞台装置/5 開始者/6 追 随者/7 おわりに ― 共に移動することを可能にすること
第15章 バカ・ピグミーの歌と踊り―演技技法の分析に向けて 都留泰作
1 はじめに/2 精霊パフォーマンスにおける演技の分析/3考察 ― 演技技法とインタラクション
第16章 「より知る者」としての立場の確立―言い間違いの指摘とそれに対する抵抗 鈴木佳奈
1 会話における知識の有無の表示/2 分析する会話事例の概要/3 「より知る者」としての立場の主張/4 「より知る者」としての立場を確立するための交渉/5 知識の有無と「より知る者」としての立場の主張
第17章 チンパンジー同士の相互行為からうまれる食物の価値 清野未恵子
1 チンパンジーが「食べる」こと/2 隠れている食物を食べる/3 隠れている食物をやりとりする ― 枯枝のアリ食行動におけるチンパンジー同士の相互行為/4 チンパンジーが共に食べること
第18章 相互行為を支えるプラグマティックな制約―セントラル・カラハリ・サンにおける模倣活動の連鎖組織 高田明
1 はじめに/2 他者と同じように行為する/3 グイ/ガナ ―民族的背景/4 映像を用いた相互行為分析/5 結論
第19章 相互行為は終わらない―野生チンパンジーの「冗長な」やりとり 西江仁徳
1 はじめに ― チンパンジーの相互行為を理解すること/2「 冗長な」やりとり ― アリ釣り場における母子間相互行為の様態/3 「冗長なやりとり」とはどのようなものか/4 むすびにかえて ― 終わりのない〈観察=相互行為〉へ
あとがき
用語集
引用文献
事項索引
人名索引